ベトナム人チャリティーワーカー ロイヤルアワードを受賞

ベトナムの障害児のため、およそ20年にわたり支援を続けてきたチャリティワーカーのその多大なる社会への貢献が、エリザベス2世女王陛下によって認められました。

ジャクリーン・ラフターさんは今月初め、バッキンガム宮殿で執り行われた式典で ケンブリッジ侯爵のウィリアム王子から大英帝国五等勲爵士(MBE)のメダルを授与されました。

彼女はベトナムニュースに対し「メダルを頂きに上がる直前は、ウィリアム王子にお会いするのだと思って少し緊張しました」と話しています。

「事前に歩き方や話し方など挨拶についての説明を受けましたが、間違いなく全部忘れてしまうと思いました。」

「でも、ウィリアム王子に厳しい様子は全くなく、ただただ温厚で素敵な方でした。私にMBE受賞お祝いの言葉を下さり、財団での仕事について少しの間お話をしました。」とのこと。

イギリス、リバプール出身のジャクリーンさんは、2001年に友人とキアン財団を立ち上げました。ベトナムの孤児院を訪れ、障害を抱える子供たちの悲惨な状況を知ったためです。

クアンナム省ディエンバン地区を拠点とし、ジャクリーンさんは同地区に暮らす子供たちが普通の生活を送ることができるよう、特別教育施設開設のサポートを行いました。

バッキンガム宮殿に招かれ表彰されたのは彼女でしたが、MBEは財団に携わる全員のものだと言います。

「共同設立者だったから私の名前で受賞しましたが、キアン財団の偉業は数多くの人たちの大変な努力があったから達成されたのです」とジャクリーンさん。

「例えて言うなら、私は財団のみんなのアンカー的な存在です。私の周りには、ベトナム国外の専門家や国内のスタッフを含め、経験豊かで仕事熱心な方々がたくさんいて、膨大な労力を注いでくれています。」と続けます。

「私は教師でもないし、理学療法士でも言語療法士でもありません。財団のプログラムは他の皆さんがもたらしてくれたものですし、私たちの活動だけでは資金を賄うことはできません。」

「私だけでなく、私の二人の同僚であるニック・キーガンやクリス・エフグレーブもダナンで暮らし、この活動の重要性をいかに人々に伝えていくかについて考えを巡らせながら、ずっと働き続けています。本当に簡単なことではありません。」

ジャクリーンさんはこの日、両親と息子のグエントーホアンクォア君をロンドンに連れて行っていました。

「クォアは宮殿に行くことにとても興奮していて、中に入るのは自分がベトナム人で初めてかもしれない、なんて言ってたんですよ」とジャクリーンさんは話します。

「クォアとは、プロジェクトを立ち上げたホイアンの孤児院で働いているときに出会いました。脳性麻痺を患っています。彼の障害は身体的なものだけで、とっても聡明で優秀です。私たちの教育施設の学校に通っていました。テトの頃に卒業したら、補助教員・メンターとしてそこで働くことになっています。彼は、障害を抱えていてもサポートがあれば色々とできることがあると分かる良い例です。

他の非営利組織と同様にキアン財団もまた、寄付と支援に多くを頼っています。

ディエンバンの人民委員会は、センターが規模を大きくし、他の子どもたちへ支援の手を差し伸べることができるよう、土地を提供してくれましたが、工事には費用がかかります。

ジャクリーンさんはイギリス王室に認められたことで、ベトナムの児童保護問題への意識が高まってくれたらと願っています。

「今回表彰されたことがどんな影響を及ぼすかはまだ分かりませんが、ベトナム、特にベトナム中部地域はまだ問題を抱えていることを人々に知ってもらえたらと思っています。」とジャクリーンさんは述べます。

「ベトナムは2009年に、発展途上国に分類されない国であることを世界銀行に認められ、中所得国とされています。」

「それ以降、ベトナムは多くの財政支援を失い、多くのNGOもベトナムでの活動をやめてしまいました。今残っているNGOも、申請可能な助成金が減り、財政支援元を見つけることがどんどん難しくなってきています。」

「ベトナム都市部は裕福になり、財源が増えているのは紛れもない事実である一方、農村地帯や小さな町ではほとんど変化は見られません。私たちは、ディエンバンとホイアンで、100名を超える、特別支援を必要とする子供たちとその家族たちとともに活動しています。そして彼らですら、支援を必要としている人々のほんの一部なのです。」

「待機者リストに入っている支援を必要とする子供の数は200名にものぼっています。ディエンバン地区の人民委員会は施設拡張のために土地を寄付してくれましたが、工事のための資金がありません。待機者リストの人数は毎月増え続けていますが、そういった子供たちはほかに助けを求めるところがないのです。」

「一番の展開は、私たちが受賞したことで、ベトナム都市部以外で支援を求めて暮らす子供たちについて気づいて、子どもたちを救うために私たちがしている活動の支援をしてくれる人が出てきてくれることです。」