求職者の中でスタートアップ企業参加への関心広がる

・調査対象者3人のうち2人以上がスタートアップ企業で働くことへの関心、意欲を示す。

・総合的かつ健全な福利厚生サービス・社風を推進する企業の努力が実り、選ばれる企業トップ10の顔ぶれにわずかな動きが生じる。

タイトな労働市場において、企業間の人材獲得・維持のための競争が激しくなるにつれ、魅力ある福利厚生としっかりとした社風を進めるための投資を行ってきた企業が、選ばれる企業に残っています。スタートアップ企業で働くことへの関心・意欲もまた一定の増加を見せています。これらは、回答者数3,000を超える、キャリアビルダー・シンガポールの「選ばれる企業調査2018」の中の重要考察事項に含まれています。

キャリアビルダー・シンガポールのアジア太平洋地域責任者、プレムレシュ・マチャマ氏は、「『選ばれる企業』に選ばれることの重要性を知る企業を見ても分かるように、選ばれるようになるにはそれなりの時間がかかります。自社従業員の考えを理解しようと意識的に努めている企業は、職場の文化を育み、魅力的な企業ブランドを作り上げることが可能となるため、長期的な人材の確保・維持の面で優位に立つことができるのです」と話します。

良い評判・社風づくりが功を奏す

就職を希望する、あるいは会社に残りたいという回答を得た企業の顔ぶれにはわずかながら変化が生じています。「選ばれる企業」の民間企業の上位陣は2017年、2018年とも変わりはなく、テック企業大手のグーグルが4年連続で1位でした。政府および政府関連機関では、シンガポール金融庁とシンガポール政府観光局がそれぞれ1位、2位に選ばれています。スタートアップ企業トップ10では、Honestbee(オネストビー)がランクを一つ上げて3位に、Carousell(カルーセル)とRedmart(レッドマート)が3年連続で1位、2位にランクインしています。

前年同様、報酬は重要ポイント- 「選ばれる企業」の最大のポイントとして回答者の88パーセントが上げたのは、「給料・ボーナス・その他金銭的補償が魅力的であること」でした。続いて「昇進制度が整っていて、キャリアアップの機会がある」が挙げられ、報酬面に近い87.7パーセントの回答者が選択していました。

ただし、昇進や職場環境に関連した理由を選択したのは、転職が保証されるという点で重要度が高いためのようです。転職の一番の動機として回答者の66.1パーセントが挙げたのは、昇進の可能性が低いことで、続いて44.9パーセントが上司に対する不満、そして43.7パーセントが「社風が良くない」でした。

スタートアップ企業への関心の広がり

スタートアップ企業への就職は依然人気が高く、回答者の69パーセントが意欲と関心を示しています。2016年は59パーセント、2017年は68パーセントと、その人気は高まり続けています。その理由として、学習の機会が認められていること(82パーセント)、熱心で意欲的な同僚と働くことができること、様々な職務につくことができることなどがあげられています。

スタートアップ企業で働くことを望まない回答者は、78パーセントが事業が失敗する可能性があるとして、雇用保障の不安を理由にあげられ、給料の低さ(61パーセント)よりも高くなっています。

その他の調査結果:

金融系より保健・医療系の仕事が好まれる:最も好ましいとされる産業は保健・医療系(21.1パーセント)で、それに続いたのは政府関連業と教育・訓練産業です。これまで1位だった銀行・金融・投資系の仕事は5位まで落ちています。

新卒者はより現実的:経済成長が緩やかになったこと、そして労働市場が厳しくなってきたためか、2017年と比べて給料に対する期待感が薄れています。2017年は希望する給料の金額が3,000~3,500シンガポールドル(約24万~28万円)であったのに対し、2017年より多くの回答者(27.4パーセント)が、「2,500~2,999シンガポールドル(約20万~24万円)」を選びました。マネージャー職に昇進するまでの期間として新卒者が選んだのは「5年」で、2017年の「3年」よりもわずかに上回っています。

長期雇用希望者の増加:新卒者は職を転々としがちだと一般的には考えられていますが、今年は長期の雇用を希望する新卒者が多いことが分かりました。新卒者の半数以上(55.1パーセント)が、今後10年で1回以上の転職を望んでいないと回答しています。