ベトナム労働力における需要と供給のギャップ

ベトナムの労働資源は豊富であるにもかかわらず、国内企業の多くは十分な数の熟練労働者を確保することができず、そのため製造活動を拡大することができずにいるとしています。

コンサルタント、適性テストの提供も行っているキャリアリンクベトナムのマイ取締役社長は、スキルの水準と企業からの要求にギャップが生じていると話しています。その理由は「優秀な労働者が不足している」ことだそうです。

キャリアリンクベトナムの調査では、企業の41パーセントが質の高い労働者を十分に確保できていないことが分かります。

今年の第1四半期では、就職活動を行っている労働者の数は昨年の同時期と比較して40パーセント上昇しています。

マイ取締役社長によると、その理由の一つに挙げられるのは、近年ベトナムに設立される海外直接投資企業の数が増えていることだと言います。

様々な分野での第4次産業革命に向けて動向に変化が起こり、特に製造業とIT分野の労働市場では新たな職種が生まれています。データ分析や人工知能、ブロックチェーンアプリの技術者がその例です。

「新たな職種が生まれたことでベトナムは企業の人材需要の面で後れをとっています」と、マイ取締役社長。

ベトナムのITエンジニア求人サイト、クリス・ハービーCEOは、「私たちが行った最新の調査では、問題解決スキルだけでなく、適切な英語力を持つITエンジニアの獲得にテック系企業の多くが苦労していると分かっています。また、かなり多くのITエンジニアが英語力が低く、経験が少ないと仕事をもらえないと述べているようです」と話しています。

ベトナム国立林業大学のトランヴァンフン氏も、国営ベトナム通信社のインタビューでホーチミン市の企業の多くが優秀な労働者を十分に採用することができていないと述べています。

ホーチミン市がハイテク産業に多額の資金を投資していることから、労働スキルが不足することを心配する専門家が大勢います。

ベトナム国家大学ホーチミン市工科大学の学長でもあるヴーディンタイン教授によると、多くの大学や高等専門学校、職業訓練学校で同様の訓練課程が実施されているものの、企業が求める様々な需要に見合ったレベルの訓練をするには至っていないと言います。

また、労働傷病兵社会省大臣でもある、レキムズン博士によると、雇用市場のデータべースが完成しておらず、各省、各都市ともつながっていないとのことです。

そのため、労働市場に関しての分析・予想が不正確なものとなり、社会経済政策に影響を及ぼしていると話しています。

解決策

ズン博士は、政府は公民の連携を促進し、労働市場に関するプロジェクトを実行するべきだとします。

キャリアリンクベトナムのマイ取締役も、政府は市場動向の分析・予想を定期的に発表し、企業が人的資源の改善ができるよう、もっと政策を立ち上げるべきだと話しています。

また、各学校がより質が高く効果的な訓練を行うために、企業側も情報を提供するべきだし、企業ブランド政策の改善を試みるべきだとも述べています。

マイ取締役はさらに、大学、高等専門学校、職業訓練学校は、企業が真に求めている人材育成のために訓練プログラムを更新していかなければならないとつけ加えます。

学生たちがソフトスキルや独創性豊かな思考スキルを身につけられるよう、企業と連携することも重要だというのです。